コンパクトな土地に家を建てることが多い都市部。少しでも大きい家にするために、屋根の出っ張りが無い「軒ゼロ住宅」が増えています。
大事な役割をする軒が無いことで、どんなデメリットがあるのでしょうか? ハウスメーカー出身のFPとして、軒ゼロ住宅のオーナーから相談を受けることが増えてきました。この記事で、後悔しないためのポイントを解説していきますね。

軒ゼロ住宅の弱点を知らずに建てると、後悔するかもしれません。
「どんな弱点があって、なにを対策すればいいのか」その具体的な方法がわかります。
軒ゼロで後悔する要因は5つ
最近よく見かけるキュービックみたいな家。軒の出がとても短いので、下からのアングルだと、まるで屋根が無いみたいに見えます。





シンプルモダンな雰囲気で、素敵よね
めちゃくちゃ、カッコいいです! こういった軒の短い家屋は、軒ゼロ住宅と呼ばれます。ゼロという名のとおり、まったく軒が無い場合もありますが、軒があっても、長さが25cm以下なら、その建物は軒ゼロ住宅です。


いっぽう、「日本の家」と言われて 思い浮かべるのは、深い軒に守られた 縁側のある風景。
梅雨が長く、夏が蒸し暑い日本の風土に合わせて、軒を伸ばした。そのおかげで、雨の日は窓を開けて、風を通せるし、晴れた日は暑さを和らげてくれます。



まさに、日本人の知恵ですね
昔は無かった軒ゼロ住宅。日本の気候にどうやって対応しているのでしょうか? 後悔につながるリスクを5つにまとめてみました。順番に見ていきましょう。
雨漏りの発生確率が5倍!
日経ホームビルダー2016年12月号で「それでもやる? 軒ゼロ住宅」という特集が組まれました。そのときに示されたデータがこれです。


軒の出がない部位の雨漏り事故発生確率は、軒の出がある部位の約5倍だった(資料:日経ホームビルダー)
日本住宅保証検査機構(JIO)によると2010年7月から2016年6月までに保険金の支払いを認めた雨漏り事故案件を対象に、それぞれの雨水浸入箇所で軒の出があるかを調査しました。その結果、軒の出がない箇所での雨漏りが71.8%と全体の7割を超える事が分かりました。(軒ゼロ=軒の場合柱芯から端部まで250mm以下、ケラバと棟は端部までが150mm以下と定義)また軒の出がある場合とない場合の雨漏り事故の発生確率を比べると、ない場合が約5倍になることが分かったのです。
家にとって、軒は「傘」のような役割をします。傘が小さい軒ゼロ住宅は、いかにも雨に弱そうです。とはいえ、軒の出がないと、雨漏りリスクが約5倍に跳ね上がるとは。かなり衝撃的な調査結果ですよね。
軒の出が違うと、家の壁面にかかる雨量はどれくらい変わるのでしょうか? 国土交通省 国土技術政策総合研究所の研究成果をご覧ください。


・左端の家 : 建物の4方向すべて、軒の出が90cm
・真ん中の家 : 建物の2方向が、軒の出90cm。残りの2方向が、軒の出15cm
・右端の家 : 建物の4方向すべて、軒の出が15cm(軒ゼロ)
軒ゼロの家(右端)は、「傘をささずにズブ濡れ」という印象。こうしてみると、屋根近くの壁にかかる雨量がとくに多いんですね。
この部位には、屋根と壁面の接合部があって、防水性能を維持するのが難しいところです。きちんと施工したうえで、適切なメンテナンスがされていなければ、雨漏りして後悔する可能性が高まるでしょう。
・外壁の開口部(窓や配管の貫通部など)
・バルコニーと陸屋根(水平の屋根)
・屋根と外壁の接合部 ※軒ゼロは雨が直接当たるので雨水侵入リスクが高い



雨漏り対策は、このあとの章で解説します
夏の日射が室内に入って暑い
電気代が高騰している昨今、できるだけエアコンは使いたくないですよね。仕方なく、スイッチONするにしても、できるだけ省エネ運転にしたいもの。
そのためには、夏の陽射しを室内に入れないのが効果的ですが、これが軒ゼロだと難しいんです。





断熱ペアガラスとか、窓が高性能なら平気でしょ?
いえいえ、下の図を見てください。軒の出が短い家は、ギラギラした太陽が室内まで入り込んできます。汗が流れるほど、暑そうですね。これでは、どれだけ高性能の窓ガラスでも、熱気を防ぎきれません。
いっぽう、軒の出が長い家では、日射がカットされています。まるで、日傘をさしているように、すっぽり影になって涼しそう。これなら、エアコンを使うとしても最小限で済むでしょう。
ちなみに、夏至の南中高度は、東京で約78度。ということは、軒の出が60cm以上あれば、日射が室内に入り込むのを遮ることができます。





でも、冬は日射しが室内に入ってこないと寒いんじゃない?
大丈夫。冬は日射の傾きが緩くなるので、軒の出が長くても室内までお日様が入ってきます。陽だまりで、ポカポカですね。


ただし、南側の隣家との距離が近いと、軒の出の長さに関係なく、(隣家の)影になってしまいます。もちろん、隣家とのあいだに距離を保てればいいのですが、都市部の一般的な住宅地では難しいかもしれません。
ちなみに、南道路(南側の隣家とのあいだに道路がある)なら、影にならずに日射が届くケースが多いでしょう。このメリットに注目して、南道路を欲しがる人も多いですね。
外壁が保護されない
軒の出が長いと、雨傘になったり、日傘になったりしてくれる。この大切な役割は、外壁にも影響を与えます。
外壁材の主流は窯業系サイディングですが、主材として使われるセメントや繊維材に防水性はありません。表面をトップコートでコーティング加工することで、外壁材として使えるようにしているんですね。
一般的なサイディングにはつなぎ目ができるので、雨水が入り込まないように、シーリング材で隙間を埋めています。



弱点をつくらないために、シーリング材を必要としない「シーリングレス工法」のサイディングもありますよ
トップコートやシーリング材は、直射日光に当たる時間が長いほど、劣化が早まります。防水機能が低下すると雨から家を守れなくなり、外壁に汚れが付着。どんどん家の美観が損なわれるんです。
とくにシーリング材は紫外線に弱く、劣化すると縮む性質がありますから、次第にスキマが出来て雨漏りの原因になる。軒ゼロ住宅で後悔しているオーナーさんから、たびたび聞かされる嘆きです。
軒ゼロ住宅は、雨が屋根付近まで直接吹き付けたり、直射日光が当たる面積が広いため、それだけ外壁の劣化が早まることに。



塗り替えの時期が前倒しになるから、そのぶんお金もかかるわね
もちろん、軒の出が長くても、雨や紫外線をすべて防げるわけではありませんが、少しでも劣化を遅らせるのが賢明です。



10年、20年と長期で考えた場合、あたかもボディーブローのように効いて、その差が現れてくるでしょう
小屋裏と外壁の換気が難しい
わが家の2階 天井部分に取り付けられた点検口から、小屋裏に入ったことがあります。夏の日だったので、モワットした暑さは感じましたが、予想していたような ジメジメした空気ではありませんでした。



むしろサラッと乾燥してて、意外でしたね
これは、軒天に設けられた換気口のおかげ。換気口から新鮮な外気が取り入れられて、湿気をどんどん屋外へ逃がしてるんです。入口は軒裏(軒天の換気口)で、出口は棟部(屋根のてっぺん)。下から上へ、空気が自然に流れていきます。
さらに、外壁の中にも通気層が設けられています。理由は、外壁内に敷き詰められた断熱材に湿気が溜まると、断熱性能を低下させてしまうから。その通気層をとおって、湿った空気が 小屋裏へ上昇していきます。



換気口って、めちゃくちゃ重要じゃん。
そのとおり。でも軒ゼロだと、軒天の面積がほとんどありません。



軒ゼロ用に開発された、特殊な換気口が必要ですよ。
窓に直接 雨があたる
夏の夕立とか、急に雨が降ってくることってありますよね。そんなとき、雨傘代わりの軒があると 余裕をもって対応できます。
いっぽう、軒ゼロ住宅では、慌てて窓を閉めないと大変なことに…



気づくのが遅れたら、家の中がビショビショね…
それから、雨音も気をつけたいポイント。寝室の窓に雨が直接当たると、意外と気になるものです。物音で目が覚めちゃう人は後悔するので、このあとの章で解説する対策を要チェックです。
ちなみに「窓を閉めればバッチリ防水」と勘違いしがちですが、窓と外壁のつなぎ目が弱点となって、雨漏りすることがあります。
窓の施工は、壁の材料にアルミや樹脂のサッシをつなぎ合わせています。ですから、経年劣化も含めると、つなぎ目に隙間が生じる可能性をゼロにすることはできません。



できれば窓も、「長時間ずっと雨が当たり続ける」とか、「多量の雨が吹き付ける」という状況は避けたいですね。


軒ゼロの嬉しいメリット
つづいて軒ゼロ住宅のメリットを見ていきましょう。さきほどちょっと触れたデザイン性のほかにも、嬉しいメリットが盛りだくさんです。



軒ゼロじゃなければ実現できないことがあります。
軒ゼロ住宅が増えているのも納得。5つあったデメリットを帳消しにしちゃうくらいのインパクトがあるんじゃないでしょうか。
小さな土地で 住居スペースを広くできる
都市部の住宅地では、なかなか広い土地を買うのは難しいですよね。とはいえ、土地は小さくても居住スペースは広くとりたい。そこで登場したのが軒ゼロ住宅です。
軒先があるってことは、居住スペースより屋根の面積のほうが大きいわけです。屋根を敷地のなかに収めようとすると、外壁を境界線から後退させるから、居住スペースが狭くなっちゃう。
「だったら、軒先を無くしちゃおう!」と。



う~ん、単純明快だね
ちなみに、居住スペースになる部分は民法上「隣地境界線から50cm以上離す」というルールです。軒ゼロ住宅でも、境界線ギリギリまで建てられるってわけじゃありません。
とはいえ、軒の出がある家と比べたら、居住スペースが ぐ~んと広がります。このメリットは大きいですよね。



だから、狭小住宅の80%以上が軒ゼロ住宅なんです
モダンなデザイン
軒先の出っ張りが無く、凸凹が少ない外観は、すっきりした印象を与えます。シンプルなデザインが好きな人から、熱烈な支持を受けるわけですね。



「新しさ」とか「未来」を連想するわ
なかでも片流れ屋根を採用した軒ゼロ住宅は特徴的。棟部側(屋根の高いほう)から見ると、壁面の高さが際立って、家がとても大きく見えるんです。





迫力のある外観は、自慢できますよ
隣家が近くても、室内が明るい
都市部の住宅地では、採光に苦労することが多いもの。家の中が薄暗いと気分まで落ち込むし、晴れた日の昼間から照明をつけるようじゃ、後悔しますよね。
・隣の家との距離が近く、昼間もずっと影になる
・立地上の制約(例:目の前が集合住宅の通路)で、南面に大きな窓を設置できない
・視線が気になって、常時 レースのカーテンを開けられない
軒の影ができないので、軒ゼロ住宅は室内が明るくなります。これは大きなメリットでしょう。



少しでも明るい家になるなら嬉しい!
建築時のコストを抑えられる
軒ゼロにすれば、単純に屋根の面積が小さくなりますよね。ということは、軒のある家に比べると、屋根に使う材料のコストが浮くわけです。



軒ゼロ住宅はお財布にやさしいんですね
夏には強烈な直射日光を浴び、冬には雪をかぶる。雨風はあたりまえで、ときには台風も凌ぐ。屋根をとりまく環境は、とんでもなく過酷です。当然ながら、それに耐える素材で製造する屋根材は安くありません。そのほか、軒天ボードや垂木(たるき)など、屋根を作るための材料は、けっこうなお値段がするんですよ。
しかも、安くなるのは材料代だけじゃありません。屋根が小さくなれば、施工費用も下がる。まさに、コストダウンの連鎖ですね。



余った予算で、キッチンをグレードアップしちゃおう
強風の影響を受けにくい
凹凸が少ない軒ゼロ住宅は、強風の影響をあまり受けません。



じつはこれ、かなり大きなメリットです。
近年、日本にも甚大な被害をもたらす台風が上陸していますよね。アメ台風も難敵ですが、高台にある家なら それほど心配ないでしょう。いっぽう、カゼ台風は、すべてのエリアで恐怖です。



台風のニュースで、屋根が飛ばされてる映像を見たことある…
容赦なく、暴風が吹き上げますからね。軒の出が長いほど、風を受ける面積が大きくなるため、屋根と壁を強力に固定しておかなければなりません。
わが家でも、台風直撃を経験しましたが、本当にコワかった(泣)。ゴゴォー! ゴゴゴォオーー!!って、すごい音がするし、家が揺れる感じですよ。



強風の影響を受けにくいカタチって、ものすごい安心じゃないでしょうか。


軒ゼロで後悔しないための弱点対策
軒ゼロ住宅には、すごいメリットがある反面、不安要素もありました。もし、この弱点をカバーできるとしたら、どうですか?



トラブルの心配が減って、快適に住めるよね
そのとおり! 建てるときに適切な対策をしておけば、あとから後悔しなくて済むし、将来のメンテナンスが 断然ラクになります。さっそく、見ていきましょう。
建築時の適切な防水工事
軒ゼロ住宅の最大の弱点、とも言える「雨漏りのリスク」を減らすには、どうしたらいいのでしょうか?



とにかく、水が浸入する隙間を無くすこと。これに尽きます!
・建築時の防水工事を、施工基準どおりに正しく施工する
・外壁の隙間はシーリング材で確実に埋める
これらが遵守されていれば、軒ゼロでも雨漏りしないはずですが、いちばん危険なのは、ハウスメーカーを過信することです。「きちんと施工しているだろう」などと思わず、引き渡し時までに、じぶんの目でチェックしてください。



わざわざ、素人がチェックする必要ないでしょ?
もちろん、あなたがやらなくても、現場監督が竣工検査で確認しているでしょう。べつに疑うわけではありませが、ミスがゼロである保証もないんです。施主のあなたが ダブルチェックすれば、確実に雨漏りのリスクは下がります。
地上から見上げて、屋根近くの小さな隙間を肉眼で見つけるのは難しいでしょうから、双眼鏡やオペラグラスを持っていくといいですよ。ゆっくり時間をかけて、家をひと廻り。すべての外壁を点検してください。
・外壁と軒が接している部分
・外壁から出ている配管と、外壁との接合部
・バルコニーの手摺と外壁の接続部



「あやしいな」と思ったら躊躇せず、写真を撮って ハウスメーカーに補修してもらいましょう
耐久性のある外壁材や塗料を選ぶ
時代とともに、外壁材もどんどん進化してるんです。たとえば、軒ゼロ住宅でよく使われる、ガルバリウム鋼板。金属系サイディングなので、耐久性・耐水性に優れています。そのうえ、金属系サイディングの弱点である、サビも発生しにくいという優れものなんですね。
金属系サイディングならではの、シャープな外観に仕上がるのも魅力で、軒ゼロとの相性は抜群。強い衝撃で凹むなどの欠点もありますが、じゅうぶん検討に値するでしょう。(下の写真はイメージ)


外壁材の種類と特徴を一覧表にしてみました。予算との兼ね合いもありますが、軒で保護されないことを念頭に、耐久性・耐水性が高いものを選ぶのがオススメです。
外壁材 | メンテナンス 頻度 | メリット | デメリット | 価格 (1㎡あたり) |
サイディング | 窯業系約7~8年 | ・価格が安い ・デザインが豊富 | ・トップコートの劣化 ・シーリング材の劣化 | 3,500~5,000円 |
サイディング | 金属系約10~15年 | ・耐久性が高い ・耐水性が高い | ・シーリング材の劣化 ・塩害、傷、凹み | 4,000~6,000円 |
サイディング | 樹脂系約10~20年 | ・耐久性が高い ・再塗装が不要 | ・耐火性がない ・カラーが少ない | 7,000~9,000円 |
サイディング | 木質系約7~10年 | ・木の風合い ・断熱性が高い | ・耐久性が低い ・耐水性が低い | 6,000~8,000円 |
モルタル | 約5~10年 | ・防火性が高い ・デザインが自由 | ・ひび割れしやすい ・汚れやすい | 1,500~4,000円 |
タイル | 約10~15年 | ・耐久性が高い ・変色しにくい | ・シーリング材の劣化 ・深目地は水に弱い | 7,000~9,000円 |
ALC | 約10~15年 | ・断熱性が高い ・耐火性が高い | ・防水性が低い ・シーリング材の劣化 | 7,000~15,000円 |
雨漏り対策には、外壁を守る優秀な塗料を選ぶのも有効な手段です。素材によって耐久性が異なるので、将来のメンテナンス(塗り替え)費用に大きな差が出ます。もし建築時にケチって、あとで高額の塗り替え費用を請求されたら後悔するでしょう。
キレイを長持ちさせたいなら、光触媒の塗料がいいですね。日光と雨が当たることで、汚れを洗い流してくれるスグレモノ。建築時のお値段は上がりますが、外壁のお掃除が断然ラクになりますよ。
下の表を参考に、マイホームを美しく保ってくれる、お気に入りの塗料を見つけてくださいね。
塗料 | 耐久年数 | メリット | デメリット | 価格 (1㎡あたり) |
アクリル | 約3~8年 | ・価格が安い ・カラーが豊富 | ・紫外線に弱い ・ひび割れしやすい | 1,200~1,800円 |
ウレタン | 約5~10年 | ・価格が安い ・ひび割れしにくい | ・紫外線に弱い ・汚れやすい | 1,300~2,400円 |
シリコン | 約8~15年 | ・紫外線に強い ・耐水性が高い | ・ひび割れしやすい ・やや価格が高い | 1,800~3,500円 |
ピュアアクリル | 約15~20年 | ・耐久性が高い ・防水性が高い | ・熱膨れしやすい ・価格が高い | 3,500~5,000円 |
フッ素 | 約15~20年 | ・耐久性が高い ・防水性が高い | ・艶なしを選べない ・価格が高い | 3,800~5,000円 |
光触媒 | 約15~20年 | ・紫外線に強い ・汚れが落ちやすい | ・ひび割れしやすい ・価格が高い | 4,000~5,500円 |
無機 | 約20~25年 | ・紫外線にとても強い ・汚れが落ちやすい | ・販売の歴史が浅い ・価格が高い | 4,300~5,500円 |
適切な換気口をつける
ふつうは軒天につける換気口ですが、軒ゼロだと軒天がありません(または、軒天の面積が小さい)。したがって、換気口の位置は、必然的に屋根の先端部分になります。
換気口は下向きに穴があいていて、空気を取り入れる構造です。雨が下向きに降っているときは、軒先でも雨は侵入してきませんが、強風で雨が吹き上げられるとマズい。
軒が深ければ、多少の強風では換気口の位置まで雨は吹きつけてこないので大丈夫。いっぽう、軒ゼロでは、大量の雨が軒先の換気口を直撃。雨水の侵入リスクが格段に上がってしまうのです。
そこで、軒ゼロ向けに、さまざまな製品が開発されてきました。適切な部材を使って、きちんと施工すれば、軒ゼロ住宅でも問題なく、小屋裏や外壁の換気ができますよ。
・軒先に特殊な換気口を設置する ⇒ 雨水の侵入を許さず、空気を取り入れる
・断熱材とサイディングの間に通気層を設ける ⇒ 外壁のなかで結露しない(カビ・腐食の防止)



どんな換気口をつけるのか、ハウスメーカーから説明を受けましょう
ひとつ注意点として お伝えしたいのは「耐久性の高いオリジナル外壁や 防水性に優れた換気口&通気システムを開発する力は、ハウスメーカーによって差がある」ということ。わたしが注文住宅で家を建てたときに、それを実感しました。
つまり、“雨漏りしない”軒ゼロ住宅を建てたいなら できるだけ多くのハウスメーカーからプランをもらうべきです。そうすれば きっと、あなたの期待を上回る 素晴らしい提案が出てきますよ。
とはいえ、気になるハウスメーカーを何社も訪問し、営業マンと何時間も打合せをするのは大変ですよね。いくら「いい家を建てるため」といっても、疲れ果ててしまいます。
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窓に庇をつけて日射しと雨から守る
軒と同じような役割をしてくれるものとして、バルコニーや庇(ひさし)があります。こういったアイテムが窓の上にあれば、夏のギラギラした日射しが直接室内に入り込むのを遮ってくれますし、雨が直接当たることもありません。



デメリットで挙げた、寝室の雨音問題も解決ですね
とはいえ、バルコニーは安くないアイテムですし、掃除などのメンテナンスが敬遠されがち。洗濯乾燥機のあるご家庭も増えましたから、洗濯物も干すためにバルコニーを設置する必要も薄れました。
いっぽう、庇なら手軽なお値段で追加できます。掃除も、ほとんど不要でしょう。できれば、日射しが入り込む時間が長い、南面の窓は庇が欲しいですね。
最近はシャープなデザインの庇もあって、スタイリッシュな軒ゼロ住宅の外観を邪魔しません。庇の出幅も選べるし、カラーのラインナップも豊富。きっと、お気に入りが見つかります。



あんまり窓に近いと、庇に当たる雨音がうるさくないかしら?
なるほど。もし、心配ならLIXILが販売しているスリムアートを検討してみるといいですよ。出幅が300mmの
まとめ:弱点を対策すれば、軒ゼロ住宅で後悔しない!
小さな土地でも、住居スペースを広くできる軒ゼロ住宅。軒が無いことによるデメリットもありますが、きちんと対策すれば、あとで後悔しなくて済みます。弱点を克服して、長く安心して住める 軒ゼロ住宅を建てましょう。
最後にもういちど、ポイントをまとめますね。
・軒ゼロ住宅は雨漏りしやすく、夏の日射し対策が欠かせない
・敷地面積に対して、住居スペースを最大化できるのがメリット
・軒に保護されない外壁は、耐久性の高いものを選ぶ
モダンな外観の軒ゼロ住宅で、いつまでも快適に暮らせますように。



あとから後悔しないための、万全な家づくり。応援しています!